2016/07/14

認知症を学ぶコツ(2)

抗認知症薬の適量処方はどうなるのか

抗認知症薬の増量規定に従い続ける限り、認知症の進行を遅らせることはできない。むしろ、悪化させてしまうこともある。だから、増量規定を撤廃した方がよい。

良薬は適切に使ってこそ、その真価を発揮できる。

しかし、現実はこの極めてシンプルな考え方とは異なっています(左の新聞記事)


当たり前のことなのですが、その後どうなったのかというと、201661日、厚生労働省から通達が出ました(以下の記事)

これで一件落着、というほど認知症医療を取り巻く現実は甘くはありません。 認知症医療を上流に、介護現場を下流に例えると、上流から流れて来る諸問題を下流で受け止める介護現場はたいへんなのです。だからこそ、医者も介護者も、もっともっと認知症の薬のことを学んで欲しいと思うのです。





第一印象はLPC症候群

「おおぉ~い!」と大声を出す入所者が新しく入ってきました。騒がしいのは大抵の場合、ピック病(前頭側頭型認知症)です。うるさいから部屋で寝かされていましたが、「おおぉ~い!」と叫び続けていました。

夕食後、勤務が終わる頃に少し時間があったので、「コウノメソッド式認知症鑑別」をやってみました。
 FTLD検査セット
 ・利き腕は? ・・・ 「右」と即答
 ・左手で右肩を叩いて ・・・ すんなりと実行
 ・「サルも木から落ちる」の意味は? ・・・ 「そりゃぁから、サルも落ちるヮ」
 ・「弘法も筆の~」なに? ・・・ 無言で回答なし
  
おわりに、「正キツネ、逆キツネ」を試してみると・・・


まったくできず、これはアルツハイマー型認知症(ATD)か? とも思えるのですが、ピンと来る印象なし。雑談を交わしながら様子を観ていたのですが、その場凌ぎの取り繕いなし。
身体に触れても騒ぎ出すこともなく、左腕に歯車現象、右腕に鉛管様筋固宿を確認した。目は少しばかり「びっくり眼(まなこ)」で、とりあえずLPC症候群」と仮鑑別しました。
この間、10分程度。(外来初診に費やす時間より短い)

そうこうするうちに、「煙が出たぁ~!」と騒ぎ出す。
寝かせると、電話番号を大声で連呼する。

入所時に交付された「情報提供書」に目を通すと、そこには、
 ・アルツハイマー型認知症(ATD)
 ・嚥下機能の低下(咽せやすい)
 ・パーキンソン症
 ・アリセプト、グラマリール
の文言が記されておりました。
「また迷惑な症例が入ってきた!」 私は苦笑いしたのでした。


第一印象を元に「状況証拠」を集めて、その第一印象を支持する症状と支持しない症状を積み重ねて確定鑑別する。私流の「認知症の学び方」です。