2016/05/05

介護従事者だから知っておきたいCBSとPSPS(3)

近年、レビー小体型認知症(DLB)が増えていると言われています。理由は色々あるのでしょうが、製薬会社がドネペジルをDLBも適用範囲となるよう申請して認可されたからという事情もあります。

DLBが増えている」という統計データ(?)の裏で、PSPSCBSが見逃されてしまっているのではないだろうか? これが気になるところです。


DLBがクローズアップされる程、神経変性性の「四大認知症」にPSPSCBSが入ってきます。ここで、左図では脳血管性認知症(VD)は「神経変性性の認知症」ではないので挙げていません。基本的に血管性認知症は、血管障害(脳梗塞、脳出血)が再発しないようにコントロールされていれば、進行しないです。

ただこれらの認知症は単独ではなく複合していることもあり、境界領域が曖昧なこともあるのです。
だからこそ、基本となる単一の認知症の特徴をよく理解しておくことの重要性に変わりはありません。

余談ですが、何故、SD-NFTADGも挙げているのか? 90歳後半から100歳を超えてなお元気があって、生活の一部をお世話するだけで暮らせる超高齢者も居るのです。ちょっとボケてはいるものの治療を受けさせたいという気にもならない、礼節が保たれ迷惑をかけることもない、そういう人たちはSD-NFT、またはADGかもしれないという認識は少数といえ必要です。

神経変性性の認知症として、以下の4つ。プラス2つを知っていれば、介護現場で遭遇する認知症患者である施設利用者の大半を理解することができます。
 ・アルツハイマー型認知症(ATD)
 ・レビー小体型認知症(DLB)
 ・前頭側頭型認知症(FTD)
・大脳皮質基底核変性症(CBD)、進行性核上性麻痺 (PSP)

 ・神経原線維変化型老年期認知症(SD-NFT)
 ・嗜銀顆粒性認知症(AGD)




一般には、認知症に占めるATDの割合が50%DLB20%、・・・と統計データが円グラフで示されるのですが、これとは別に、スペクトラムとして各タイプの認知症の関連を覚えておくことも必要です。図ではFTDDLBLPC(Lewy-Pick Complex)を青色系で示しています。橙色系がPSPSCBSを示しており、各々が重なり合っています。これは、症状が似通っていることを意味します。




「歳だから」とか「症状が悪化したから」という言い方は事実ではありますが、それは必ずしも適切とは言えないこともあります。初めはFTDであると鑑別していたのだけれど、時間経過と共にPSPSらしさがでてきて、FTDからPSPSあるいはCBSに診断を変えるということもあるのです。但し、抗認知症薬を投与した、或いは増量したことで症状が悪化するということもあります。







【事例】
ショートステイ利用のOさん(男性、70歳後半)
どこか入所受け入れ先を待っての長期滞在。時々、周囲の刺激(音、他の利用者の様子など)に怒って文句・屁理屈を言う。日常的にイライラしているようにも見えますが、FTDの「易怒性」では説明しきれないです。
食事は一番先に配膳しないと、待ちきれずに怒り出すことがあり、早食いします。目は大きく開いていて「びっくり眼(まなこ)」と思わせるものの奇異な感じでもないです。(「ピック感」はないです)

歩行器を使って歩きますが、その動作は不安定。足が出にくいとか、「すくみ足」ということはまいですが、とてもゆっくりとした動作です。著明なパーキンソニズムはないです。いつもじっとしていて、自ら動き出すことはありません。時々、ウトウトしています。

「何だろうね・・・?」という印象でお世話していたのですが、ショートステイ利用開始時に交付された情報提供書に、「統合失調症」・「パーキンソン症候群」と記されていました。それでピンときたので、Oさんの手を取り、握手してもらいました。明らかに握力に左右差があります。Oさんは、「力が入らない」と言います。

たぶん、日々の生活状況から推して、CBSの初期段階なのかもしれません。「医者の診断を鵜呑みにするな!」 これが認知症介護の基本姿勢なのですが、どうも神経内科系領域は○○科医には診られないらしい。


まだまだ続く・・・