2016/01/06

薬のやめどきを忘れた愚の骨頂症例

一般社団法人 抗認知症薬の適量処方を実現する会」が、第1回 特別セミナーとして「認知症の在宅医療のコツ」を開催することになりました。詳しくはこちら→



こういう啓蒙活動を地道に続けていくしか、現在の不適切な認知症医療を変えていくしかないのが実情。実に嘆かわしい現実です。


抗認知症のやめどきを知らない哀れな症例

Tさんは寝たきりで、入浴の時だけ離床します。初めて会った時は既に寝たきりだったのですが、当時はまだ食事の時にも離床していました。寝たきりで静かなのですが、恐らくアルツハイマー型認知症(ATD)でしょう。何故そのように鑑別(推定)するかというと、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症を思わせる症状がなく、つかみ所のないのが特徴だからです。

まだいくらかしゃべることができていた時、食事介助すると、「いらんことするな!腐れじじぃ~!」と小声で言ってスプーンを噛んだのでした。「易怒」なのだろうと思いました。
それから数年後、アリセプト(5mg)が処方されていることを知りました。私は主治医に、[もう必要ないですよ]と、助言しておきました。

それから数年後の最近、まだアリセプトが続いていたので、看護師に「いくらなんでも、もう要らないでしょう」と伝えました。すると看護師は自嘲気味に、「いや、しゃべりだすかもしれない・・・」と言うのです。たぶん、主治医に上申できないのでしょう。
医療界の慣習だかルールだか知らないですが、看護師は医師に困っていることは上申できるが、薬のことにまで口出しできないらしいようです。(遠慮なんかいるものか!)

現在、食事に時間がかかる上に、食べる量も減ってきています。アリセプトをやめたら、いくらかは食べられるようになるかもしれません。そもそも、こういう状態では服用する意味などないのです。もはや「薬」ではなく、「毒」と言ってもいいでしょう。
まったくの医療費無駄遣いであり、薬のやめどきさえも逸してしまった愚の骨頂症例です。


現代書林刊
アルツハイマー型認知症末期ともなると(ピュアなATDだという保証はない)、回復など見込めるはずもなく、「平穏死」を待つより他にないです。

「薬のやめどき」 それはいつ誰が判断するのか? 
医者以上に、介護者に委ねられた責任なのかもしれません。