2015/06/04

認知症学のススメ (2)

「発展型」とか、「喜び創造型」とか、何かしら生産的要素を取り入れつつやっていかないと、認知症の勉強なんてとてもではありませんが長続きしませんヮァ~。なにしろ、私の場合、身近に誰か仲間を募って一緒にやっている訳ではなく、独りでコツコツとやっているのですから。


「全体像」を俯瞰して把握し、「詳細」へと展開していく。これが、たぶん正攻法なのでしょう。全体像と言っても、認知症そのものだけのこともあれば、認知症のBPSDへのケアだけのこともあるし、ただ漠然とした非薬物療法(ユマニチュードなど)だけのこともあります。「どれでもいいです」と言うのも正解なのでしょうが(絶対唯一という正解は存在しない)、認知症を薬物治療との視点で捉えた下記の本で「全体像」を俯瞰する方法をお勧めしたい。

  ■認知症医療の実態を知る
   認知症の「真実」 著者:東田勉、発行:講談社現代新書
  ■コウノメソッドを知る
   医者を選べば認知症は良くなる! 著者:河野和彦、発行:東洋経済新報社
  ■認知症在宅医療を知る
   認知症になったら真っ先に読む本 著者:岩田明、発行:現代書林


これで概ね、認知症の概要・全体像を掴むことができるだろうと思います。それはとりもなおさず、認知症は薬物療法と非薬物療法というクルマの両輪が相互に適切に回ってこそ初めて効率の良い認知症高齢者の介護がうまくいくことを意味しているのです。(注記:左記の本では、非薬物療法について書かれていません。)
ところが、認知症高齢者の介護というと、治療に関する知識・関心が希薄なため、
 ・治療はうまくいっていると勝手に思い込んでいる。
 ・治療正否に関わらず、介護でなんとかしようと頑なになっている。
 ・不適切な治療の横行を助長している。
というのが実情なのです。この悪しき構造を改めない限り、ただ疲弊するだけの介護から開放されることはなく、 社会全体では途方もない費用を国全体で賄い続けるだけの結果しか得られないのです。

日々の介護というのは、その日を恙なく(つつがなく)過ごせればいいのですが、施設で暮らす高齢者の中に陽性症状の酷い高齢者が居ると、もうそれだけで介護業務は疲弊感・ストレスを一層憎悪させます。あまりにも酷い場合、「ここはアンタが居る所ではない! 家に連れて帰ってもらい!」などと、暴言を吐きたくもなります。
これは明らかに本末転倒なことなのですが、正直なところそういう怒りも噴出します。
BPSDには、認知症患者本人の身になって対応しましょう・・・」などという教育が主流のようですが、実際のところそういう教育をやっている人が耐え難い陽性症状を声かけでおとなしくさせられるのでしょうか?
私ならば、「No!」です。声かけなどの対応を否定するつもりはありませんが、「Yes!」となるのはちゃんと治療を受けてからのことです。

年間1兆9000億円の医療費が認知症高齢者にかかっていると推計されているのですが、治療の成果がまともに得られないままに介護にツケが回ってきて介護費用6兆4000億円の負担を強いる一因となっているのであれば是正すべきです。


介護にかかる費用が6兆4000億円との推計が発表されました(2015/05/29)。年をとれば、人は誰でも他者の力を借りながら生きることは当然のことであります。迷惑をかけながら生きることとは本質的に違います。
介護に費用がかかるのは仕方ないこと。「労働集約型」である介護は、いわば人海戦術で対応しているのですから、できるだけ多くの予算をつけて欲しい。しかし、迷惑なだけの存在でしかない認知症高齢者は、医療できちんと治療して「遂行機能」と「社会適応能力」を回復させていただきたいものです。

「介護現場で何とかしよう」という頑なな姿勢は、職務熱心なことでも誠実な姿勢でもなく、ただの不勉強なのです。こういう頑なな姿勢が世の中の趨勢を占めているから、「認知症は治せない」ということにしておいた方が都合のよい人達だけが利益を得る構造が生まれ存在し続けるのです。