2015/03/14

認知症介護通信15/03/14

オレンジプランにみる「認知症は治せない」という暗黙の認識

医療は医療で、介護は介護。どちらにも共通する認識というのは、「認知症は治らない」ということ。この共通する認識を、「認知症は治せる」という認識に変えることが最優先課題でしょう。
はじめにありきは、「医者は認知症を治せる」なのです。

ハコモノ作りと数合わせが仕事のお役人は作文も得意なのです。新オレンジプランで2017年度末を当面の目標設定年度として下記のようなことを並べています。いつまで即効性・有用性のないことばかりを並べ立てるのだろうか。
認知症施策推進総合戦略」を打ち出した(2015/01/27)。認知症に対する施策を推進するための総合的な戦略なのですから、これは「大枠」が示されただけのことであり、具体的なアクションは別途存在するのでしょう。

1)認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進、
2認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護などの提供
3)若年性認知症施策の強化、
4)認知症の人の介護者への支援、
5)認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進、
6認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデルなどの
   研究開発  およびその成果の普及の推進
7)認知症の人やその家族の視点の重視。
 と、策定されています。



「戦略」というのは大枠のこと・方向性を示すことで、「戦術」とは戦略に沿って目標・目的を達成するための具体策のことです。オレンジプランは戦略なのですから、戦術である具体策は別途策定されるのですが、そこに「認知症は治せる」という共通の認識がない故に、いつまで経っても有効かつ即効性のある具体策が示されないでいるのでしょう。

だから、「七つの柱」 ②で、「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」と掲げている一方で、⑥に「認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーション、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進」などと絵空事を並べているのです。
もっとも、介護保険制度と同様に「走りながら考える」という方法に頼らざるを得ない現状は勘案する必要はありますから、不完全だからといって批判ばかりしては建設的な戦術は何も得られません。

医者は認知症を治せる」のですし、「医者を選べば認知症は良くなる」のですから、認知症を治せる医者を増やすことに注力するという発想が何故できないのか? これが不思議なのです。「認知症サポート医」という制度があって、それなりにいくらかは注力してはいるようですが、どれだけの効果が得られているかは疑問です。


認知症の原因疾患に関する基礎研究、根治薬の開発は重要なことなのですが、問題は「今でしょ!」。対症療法のコウノメソッドでは、認知症を根治することはできないでしょう。それでも、「いぃ~んです!」 認知症の陽性症状を抑えて穏やかに生活する、陰性症状を抑えて元気になってくれる。これができれば、介護負担は大きく減らせるのです。


オレンジプランにコウノメソッドを組み入れ、認知症サポータを増やす

という戦略を掲げ、
コウノメソッド実践医を増やす

という戦術を展開する。極めてシンプルで分かり易いお話しなのです。



マスメディアは、第1回認知症治療研究会をどう伝えたのか

地方紙に掲載された研究会開催の記事
普段は、「この人、ピックだよね。ウィンタミン欲しいね」、「この人、大脳皮質基底核変性症(CBD)だよね。グルタチオンとフェルガード、それからリバスタッチが欲しいね」などとぼやきながら介護現場に居る、自称「認知症オタク系介護福祉士」の私なのですが、「現場」というミクロの視点からだけでなく、「社会」というマクロの視点で見ると、認知症に関するフォーカスが些か合っていない情報という問題も見え隠れするように思えるのです。

認知症医療は情報戦」、有益で即効性のある情報を掴んだ認知症患者とその家族だけがその恩恵を受けることができる、という現状はある意味社会問題ではないでしょうか。

去る3月1日、東京で開催された「第1回認知症治療研究会」には、マスコミ関係者も来場していた。それはそれで実にありがたいことなのですが、「やっぱりね!」という失望もあるのです。翌日の新聞に掲載された記事のほとんどは地方紙だけのようです。
そこから見えて来ること;
 ・全国紙では少量の抗認知症薬を適正に使いましょう、というコウノメソッドを記事にできない
 ・抗認知症薬を減らせば、認知症の周辺症状は改善します、と記事にできない

何故なら、
 ・メディアは広告主である製薬会社との営利関係に配慮する
 ・テレビ局も同様で、スポンサーである製薬会社との営利関係に配慮する

だから、
 製薬会社との営利関係のない地方紙だけが報じている

こういうことは研究会関係者も私も重々承知していたから、「やっぱりね!」なのです。「自主規制」が働いたのでしょうと指摘せざるを得ないですね。もっと世間の注目を集めたいとか、会を大きくしたいとかいう低レベルのことを画策しているのではないことは言うまでもありません。
「おかしいねと思える事件や出来事は、カネの流れで追いかけてみる」と、映画「スライブ」で言っていたけれど、確かにその通りだと実感しました。

かつて、「大本営発表によると・・・」と報じた太平洋戦争当時のメディアは、カタチを変え沈黙するか、利害関係のない次元でのことだけを題材にして「認知症戦争」を伝え続けるのであろうか。
現在進行中の「認知症戦争」の被災者・犠牲者は数百万人で、今後更に増え続けるのは確実なのですから、世の中のためになる事実を正確に伝えなければなりません。戦況不利な最前線に居る一介護士(兵士)の声は、以下の通りです。

 ・数的問題は増え続けることに間違いはないが、質的には既に末期状態
 ・末期状態で大変のなは記憶障害よりも、前頭葉・側頭葉の機能障害
 ・アルツハイマー型認知症の人は大きなストレッサーとはならない
 ・前頭側頭型認知症、あるいはピック化した認知症患者は大きなストレッサーとなる
 ・新規抗認知症薬への期待より、対症療法での治療が現実的

現在高齢者である方々は、大本営発表に一喜一憂しながら翻弄され続けて生き抜いてきた人達なのです。それが人生最後に再び「認知症戦争」という戦争に「否応なく巻き込まれている」としたら、「歴史は繰り返される」とするには哀れなことです。


ただ今回は、時の政府によるマスコミへの言論統制も検閲もなく、あるのは営利企業による癒着の構造と自主規制なのですから、そのことを重々認識した上で「認知症を治せる医者にかかる」ことで戦火(認知症医療過誤)を免れることができるのは言うまでもありません。