2015/01/31

認知症介護通信15/01/31

コウノメソッド実践医に期待

毎回の更新を楽しみにしているコウノメソッド実践医のブログ「鹿児島認知症ブログ」が100,000回のアクセスを超えました。そして運良く、100,000のキリ番を得ることができました(2015/01/27)。なんだかとても嬉しい。
「脳神経外科」というと、専ら頭部外傷や疾患の治療、手術を専門とする診療科目というくらいの認識しかないです。「神の手を持つ脳神経外科医・ドクター福島」は、マスコミで盛んにとりあげられてきたので馴染み深いのですが、今や脳神経外科医も認知症診療をする時代になりました。益々のご活躍に期待しています。
というよりはむしろ、「認知症=精神科=認知症専門医」とか「認知症=神経内科=認知症専門医」という一般的な暗黙の内の認識(誤解)は時として医療過誤に巻き込まれるリスクがあると思うようになったので、脳神経外科医の認知症医療への参入は心強いです。
なにしろ、手術が成功しなければ訴訟にもなりかねない、「結果がすべて、成功して当たり前」の厳しい世界で生きてこられた医師たちなのですから。
3月1日に東京で開催される第1回認知症治療研究会には、鹿児島認知症ブログ」の平山先生も参加されると聞いており、会場でお会いするのが楽しみです。 


先日、職場の同僚から質問を受けました。
A氏:「認知症の検査にはどういうのがあるの? 長谷川式とかCTとか・・・」
私 :「検査なら他に、PETやMIBGがあるけど、どうしたの?」
A氏:「実は、知り合いのお母さんの様子がおかしくて、認知症の外来に行ったの。
   だけど、CTやレントゲンで診てどこにも異常なしと言われたの。」

A氏の話を聞くと、お母さんが認知症のようでとにかく家族は大変だという。それで医療機関の外来に行ったのですが診察室ではおとなしくて普通にしていたけど、夜は特におかしいというのです。

私 :「CT画像では認知症を診断できないこともあるよ。レビー小体型認知症ならば、
  脳萎縮が画像で鑑別できないこともあるし、アルツハイマー型認知症でも海馬萎縮
  が目立たないこともある。画像はあくまでも補助的な検査なんです。」
A氏:「認知症とアルツハイマー型認知症はどう違うの? レビー小体型認知症は?」

夜勤明けのA氏と遅番出勤の私は、時間のない中でこういうやりとりが続いたのです。A氏は認知症のことがよく分かっていないようです。「認知症」というのはいわば総称であり、大きくは「アルツハイマー型認知症」、「レビー小体型認知症」、「前頭側頭型認知症」、「血管性認知症」と分類されるのです。そして、これらは各々が個別にクリアカットされるとは限らず、合併することもあるのです。

その家族は2軒の医療機関を受診したのですが、共に異常はないと言われたそうです。認知症の初期は、特に家族が異常に気付きやすく、外来の診察室で医師は見逃すこともあるのです。

昨年、レビー小体型認知症にアリセプトの処方が認可されたこともあり、レビー小体型認知症を診断できずに「認知症=アルツハイマー型認知症=アリセプト」などという軽々な診断と処方には注意が必要な時代となりました。レビー小体型認知症と診断できずにアリセプトを規定通りに処方されては困るのです。

認知症診療は当たりはずれが大きいから、ちゃんと治せる医者を選ばないと大変なことになりますよ」とA氏に言って、最寄りのコウノメソッド実践医であるK医院の所在地と電話番号を伝えておきました。(コウノメソッド実践医の検索はこちらから)


コウノメソッドで理解する認知症[6]

認知症患者に処方される薬は、興奮系薬剤抑制系薬剤に大別される。
興奮系薬剤とは、陰証の認知症に対して用いる脳代謝改善薬の総称。使用法を誤ると介護しにくくなる薬剤群でもある。

一方、抑制系薬剤は、精神科で処方されるほとんどの向精神薬の総称。陽証の認知症に用いて介護を楽にするのが目的。用量が多すぎると過鎮静(意識障害、傾眠など)になって患者の活力を奪うため、家庭天秤法によって調整することが重要。

コウノメソッドでは、「まずは介護者に寄り添いながら、誰もが楽になる薬物療法を確立することが急務」だとする。それは、「介護者保護主義」という言葉にも表れている。生化学や薬理学、病理学から得られた知見や発想を、患者や介護者の存在を無視してそのまま押しつけたものではなく、介護現場を意識した処方体系にある。

 ・認知症の陽性症状には、抑制系薬剤
 ・認知症の陰性症状には、興奮傾薬剤
を、副作用を生じさせない量で処方する。その処方量は必ずしも医師が決められるものではなく、介護者が認知症患者(家族)の日常の様子を見ながら適宜調整する(家庭天秤療法)。

抑制系薬剤
 ウィンタミン(クロルプロマジン)
 セロクエル(クエチアピン)
 グラマリール(チアプリド)
 抑肝散
 ルーラン(ペロスピロン)
 セルシン(ジアゼパム)
 セレネース(ハロペリロール)

興奮系薬剤
 サアミオン(ニセルゴリン)
 シンメトリル(アマンタジン塩酸塩)
 アリセプト(ドネペジル)


【参考資料】
 ・コウノメソッドでみる認知症診療 (日本医事新報社、2012年)
 ・コウノメソッドでみる認知症診療Q&A (日本医事新報社、2014年)