2015/01/03

認知症介護通信15/01/03

正月、だけど介護は年中無休です
「正月くらい住み慣れた家に帰って家族と一緒に過ごせばいいのに・・・」毎年そう思いながら施設入所者のお世話をする。実際のところ、誰も帰らないのである。正確には連れて帰ってもらえないか、帰る家がないのである。この傾向は有料老人ホームよりも特別養護老人ホームにいる老人に多いような印象である。

一方で、正月元旦なのだから、ショートステイに来なくて家に居ればいいようなものをショートステイで元旦を迎える老人もいる。家庭では、年末年始は忙しくて介護に手がまわらないから預けておく方がいいのだろうか。また、親の年齢が90歳代ともなると、その子どもの年齢が70歳代などという老老介護の実態もある。

遠方に住む子どもが帰省して孫を連れて、あるいは孫がひ孫を連れて、面会に来られることもある。「自分でご飯を食べさせ、排泄の世話をしてみなさい!」などと思ったりもするが、家族に合ってほほえむ光景を見るとほんの少しばかりは救われるのだが、年末からインフルエンザの流行で面会禁止の状況である。職員もインフルエンザで自宅療養となっている者も数名いる。
年中無休の施設であるから正月休みもなく、私は年末年始に6日連続勤務である。

「鶏口牛後」は、「鶏口となるも、牛後となるなかれ」のことで、大きな集団・組織の末端にいるよりも小さな組織・集団の先頭に立つ方がいいという意味の故事諺である。

「認知症は治せないよ」という大きなあきらめの集団にいるよりも、「認知症は治せますよ」という小さな希望の集団にいてより良いQOLを得ることの方が賢明な選択なのである。
更には、大きな一錠を飲むよりも、小さく砕いた適量の少量を飲む方が良いという認知症治療の鉄則を表す「裏ワザ」、否「ことわざ」でもある。


コウノメソッドで理解する認知症[5]

コウノメソッドの治療哲学は漢方医学に通ずるところがある。「漢方」という名称は、日本へ伝来した西洋医学である「蘭方」と区別するためにつけられたものであり、その起源を5~6世紀に日本に伝来した頃にまで遡ることができる。日本の風土・気候や日本人の体質に合わせて独自の発展を遂げ、17世紀頃に体系化され現在に継承されている日本独自の医学である。

漢方では、患者の個人差を重視した治療を行う。病名が同じでも、体質や体型、抵抗力は人様々であり、その違いを「証」という尺度で判断する。コウノメソッドでは、認知症の周辺症状を「陽性症状」・「陰性症状」に分類する。

陽性症状
介護者が精神的ストレスを受けることから、最も嫌われる周辺症状の総称。
 ・内的いらだちからくるもの:易怒、暴力、大声
 ・不安、焦燥からくるもの:徘徊、介護抵抗
 ・認知力低下から派生するもの:妄想
 ・脳障害からくるもの:不眠、過食、幻視

陰性症状
本人が何もしないために介護者による身体介護が増える周辺症状の総称。
 ・不安からくるもの:拒食
 ・認知力低下から派生するもの:うつ状態
 ・脳障害からくるもの:無言、無為(アパシー)、食欲低下

上記の症状をもつ認知症患者をキャラクター分類として、「陽証」と「陰証」、「中間証」という。症状を診て治す「対症療法」としては最もシンプルな分類といえる。西洋医学においては、はじめに「診断ありき」なのであるから、「陽証」、「陰証」などとして治療するには些か理解し辛い向きも否めない。

陽証
陽性症状が強い患者のキャラクターのこと。

中間証
周辺症状である陰性症状や陽性症状が消失し、中核薬の標的となる中核症状のみが存在している状態。

陰証
陰性症状が強い患者のキャラクターのこと。

しかし、アルツハイマー病なのかレビー小体病なのか、あるいはこれらの混在する病気なのかは、患者の死後脳を病理検査してみなければ解らないのであるから、症状を診て治す以外に方法が現在のところないのである。

【参考資料】
 ツムラ 漢方情報

 コウノメソッドでみる認知症Q&A 日本医事新報社