2014/12/20

認知症介護通信14/12/20


ノーベル賞に輝く青色
ノーベル物理学賞を日本人3人が受賞し、その授与式が行われた(日本時間 12月11日)。日本人として嬉しいことであるが、物理学賞であることもまた嬉しい。赤崎先生は、お年が85歳(1929年生まれ)とご高齢であることもまた、長寿国日本を象徴しているかのようで、益々嬉しい。嬉しいことに溢れた2014年の12月なのである。

青色LEDとは、一体何なのか? ということはご興味があればインターネットでお調べいただくとして、簡単に言ってしまえば、「性質の異なる2つの物質(半導体)を接合して、電圧をかけると光を発する現象を生じる。その光の色は半導体の種類によって様々であり、青色に発光させることが困難とされてきた。赤崎先生等は窒化ガリウムという他の研究者が諦めていた材料にこだわり続けた結果、青色の発光に成功した」というのである。

物理現象は単一の場での現象に着目することより、異なる性質の界面や境界領域の場に着目した研究の方がおもしろかったりもする。だから、ダイオードの物理現象をエネルギーギャップ理論にまで遡ると更におもしろい。1980年代、私がの学生の頃には、そういう興味の尽きないおもしろいことが一杯あったが、今はもうやっていない。
そういうおもしろいことを、ここで書き連ねる程のことは勉強していないのでこのへんでおしまいにしたい。


どう考えてみても、認知症というのは医療と介護の間で翻弄されている、未だ決定的な対処・対応策が明確に示されていない「病気」なのだという思いを強く抱くのである。本当は、対処・対応策というのは既にほぼ確立されて、世の中に広く知られていないだけのことなのかもしれない。コウノメソッドのことである。
そういうことで下図を思いついた。

介護現場は、文学的事象で溢れている。「ばぁちゃん、ご飯を食べてくれて、ありがとう」「じぃちゃん、笑ってくれて、ありがとう」 本質的には、そういう世界でもある。
ところが、医学的事象すなわち、認知症の治療が不適切であったり、未治療であるが故に、医学と文学が混沌として荒れているのが現実なのである。

ご飯を食べない、食べているかと思えば茶碗をひっくり返す、お箸は1本、スプーンは反対、手掴みで食べる、隣人のお膳に手を出す・・・・ やりたい放題なのである。文学とはほど遠い世界がある。因みに、左記に挙げた症例は、どれも医学的にはピック病に多くみられる。

図中の左にあるのは、医療(緑)と介護(橙)の領域を示したものである。左端は、認知症だけにしか関心を持たずに研究なり治療をやっている方々である。うまく治療をやっていれば有難い存在であるが、うまく治療できていなければ結果責任を顧みることのない医師である。

右端は、介護現場(家庭、施設)に居て、介護だけで精一杯か認知症の治療については無関心か、「認知症は治せない」とあきらめている方々である。殆ど大多数の人が右端に位置するのであろうと思われる。

割合(比率)は別としていくらか内側に位置するのが、認知症とその治療方法と介護に関心を持っている方々である。自分が何処に位置するのか考えてみるのも良いかも知れない。医療従事者と介護従事者では立ち位置も視点も役割も異なるし、情報量も当然ながら異なる。
これら両者ができるだけ同等の認知症と治療に関する正しい知識を持って、対等に話しをできるようになれば、認知症の治療はうまくいくのである。

その結果、認知症患者は穏やかになり、社会適応能力と遂行機能をいくらかでも取り戻せるのである。「認知症は治せる」というのは、こういうことなのである。


認知症の「真実」

講談社から認知症の「真実」と題した本が出版された。いつも職場で観ていることが「真実」なので特別驚きはしなかった。臨場感があるとでもいうか、この本を読んでなんとも奇妙な気分になった。活字情報とインターネット情報と、実際に観ていることが重複しているのだから、これまでの普通の「読書家」としての経験だけではきちんと消化できない自分がいる。

私は文学に疎く、ノンフィクションしか読まない。柳田邦男氏の著した「マッハの恐怖」(1971年、フジ出版)を読んで以来ずっと航空機事故のことばかり追いかけてきた。事故の原因究明は勿論のこと、巨大なシステムに潜む「落とし穴」にまで踏み込んだ考察が性に合っていた。積み上げると1mを超える本を読んで、好奇心を満たしていた。今日ほどインターネットが普及していない時代のことである。

薬のせいで人格が破壊されたような人、家庭崩壊した人、不適切な入院で亡くなった人などを私も実際に見ている。認知症の人を第一人称とすれば、ライターである東田氏は第三人称なのだろうが、私はいつも認知症の方々の傍らにいる第二人称の存在なのである。
だから、「真実」の見方も受けとらえ方も深刻度が変わってくる。これは自然なことである。この本を読んで、まだきちんとアタマの中で整理できていないので、本の紹介と東田氏のインタビューをリンクさせていただくに留めたい。
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