2014/12/13

認知症介護通信14/12/13

宇宙に行ったカメラ

月面着陸したとされるアポロ11号に搭載されていたカメラはハッセルブラッドであるが、その後の宇宙飛行にはニコンのカメラも搭載されている。カメラ市場は概ねニコンとキャノンが二分している。カメラオタクの間では、「ニコン党」vs「キャノン党」という構図で対峙してきた歴史がある。また、「報道のニコン、芸術のキャノン」という棲み分けもあったりする。一社独占市場ではなく、複数のメーカーが競争して優れた製品を世に出すということは良いことだ。
私は元々キャノン党であったが、ニコンに鞍替えした。
キャノンのカメラ製品は、NewF1を2台所有している。プロ御用達のカメラであるから1台でも十分なのだが、2台である。35mmと100mmの単焦点レンズをそれぞれのボディに着けたまま撮り歩くためである。
MF(マニュアルフォーカス)からAF(オートフォーカス)へと市場の趨勢が移り変わる頃、キャノンはマウントを変更したが、ニコンはマウントを変更することなく現在に至っている。マウントの変更は、既存のレンズ資産を使えなくなることであり、いわば「切り捨て」なのである。
ニコンというメーカーはユーザーを頑なに大切にする生真面目な会社である。だから、ユーザー切り捨てとも言えるマウントの変更はしなかった。

そういう会社の姿勢に惹かれて、3台目の購入となる一眼レフはNikon F5となった。これまた、プロ御用達のカメラである。NASAの要求仕様に応じてオイル類の変更だけであとは改造されることなく宇宙に行ったのである。
やがて、フィルムカメラはデジタルカメラ全盛の時代の波に流されて生産終了となった機種が多い。現在では、フィルムカメラは数える程の機種しか生産されていない。寂しいものである。

これらフィルム一眼レフに加えて、最近デジタルカメラのNikon Dfを購入した。ひと昔以
上前は休みの度に撮影のために遠出したものであるが、今は出かけることも殆どない。だから、Nikon Dfの出番は少ない。認知症の勉強で忙しいからではなく、出かける元気がなくなってきたのである。老化か?
「宝の持ち腐れ」にならないように、腕の筋トレとしてダンベルの代わりに活躍している私の愛機なのである。

名機と賞賛されるプロ御用達のカメラを所有することは、それ自体が贅沢な喜びであり自己満足である。認知症治療のプロである医師が読む専門書をただの介護士が何冊も読むことはどうであろうか? 
認知症は、医療と介護が密接に連携して相互に足りないところを補完し合うという社会システムで支えなければならない病気なのであると認識すれば、意義深いことである。



使うなと言うなら、一体どうしろと言うのか!?
「欧米に比べて・・・」という言葉は実に都合が良い。明治維新以降、我が国がお手本としてきた欧米諸国のやっていることに追従しておれば、とりあえず成長できたのだから。それは、鉄道、鉄鋼、造船などのことである。医療も同様なのかもしれないが、こと認知症医療に関しては、我が国が良かれ悪しかれ「先進国」なのであって、欧米に倣う必要はないかもしれない。
興奮などを抑える一方で副作用のリスクが問題視されている抗精神病薬が、平成20~22年に認知症患者の5人に1人に処方され、以前より処方割合がわずかに増えたことが、一般財団法人「医療経済研究機構」の調査で分かった。抗精神病薬は中枢神経に作用する薬で、複数の種類がある。認知症に伴う暴言や妄想などの行動・心理症状に使われるが、本来は適用外。処方割合が大幅に減っている欧米諸国に比べ、日本では薬に頼る傾向が残っていることが浮き彫りになった。
 認知症患者は死亡や転倒などのリスクが高まると指摘されており、厚生労働省が25年に発表したガイドラインでは
「基本的には使用しないという姿勢が必要」としている。(産経ニュースより転記引用)
使うなと言うのなら、一体どうしろと言うのであろうか? 代案をきちんと提示すべきである。「介護で何とかしなさい」とでも言いたいのであろうか? 
それならば、介護報酬を大幅に引き上げ民間企業か公務員並の賃金を支給して人並みの生活を保障し、介護現場に足りる人材(単なる人手ではない)を確保するように体制を整えるべきである。

更には、中核症状薬であるアリセプト(ドネペジル)、レミニール、メマリー、リバスタッチ/イクセロンタッチだけを規定された用法用量の通りに使いなさいとでも言いたいのであろうか? もしそうなのであれば、20世紀の我が国で起こった薬害事件以上の大規模な事態を招くことになるのではなかろうか。

実は、この事態は既に現実のこととなっている。ただ、被害者が高齢者であり、支える介護者もまた年齢がいっているため、声を大にして訴えるだけの力を持っていないことが多いだけのことである。
損得勘定で話しをするのは下世話なことではあるが、誰が損をするのかは言うまでもなく、患者とその家族である。一方、得をするのは製薬会社と、利権構造の中で恩恵を得る一部の人たちである。

一見すると見えてこない世の中の事象は、カネの流れで追いかけると見えてくるものである。いつの日にか被害者に対して、厚生労働大臣が最終的に政治的パフォーマンスで、「ごめんなさい」と陳謝して幕引きとするのだろうか。


コウノメソッドで理解する認知症[4]

認知症治療向けにシステム化されたパッケージである「コウノメソッド」で推奨される薬と健康補助食品(サプリメント)は、必ずしも河野医師が見つけ出したものとは限らない。例えば、
・抑肝散 東北大学の研究
・グルタチオン 実践医からの情報
・カプサイシンプラス 実践医からの情報 
・フェルラ酸(フェルガード、ANM176) 韓国の病院でのATDへの効果確認
などというように、河野医師による発見ではない。このことは、河野医師の著書やブログにも明記されている。

アリセプトをはじめとする抗認知症薬については、患者個々の症状を診て適切な処方量を探り出している。その数が他の医師に比べて圧倒的に多く(日本一)、30年余りの認知症治療経験に基づく経験則(職人技)が長けているのである。
抗認知症薬が登場した1999年以前はどうしていたのであろうか。グラマリールなどの抗精神薬を少量使って治療していたという。また、治療していた患者の脳の献体を受け病理検査ーCT画像読影ー症状の検証を勤務医時代に行っていた。

経験則や職人技というのは、なかなか「標準化」されにくい性質があるし、広く一般に受け入れられない側面がある。しかしながら、認知症の治療標準としてシステム化されたのであるから、無益な邪推を捨てて試してみる価値はある。

「コウノメソッド」という個人名を関した名称に反駁する向きがあるとすれば、それは枝葉末節のことであり、患者と家族の存在を無視した意味のないことである。
日本人はとかく日本人名を冠した名称にアレルギーを持つ国民性があるのかもしれない。例えば、レビー小体型認知症のレビー小体と認知症の関係を明らかにしたのは、小坂医師であることが知られている。その功績を尊重する意味では、「小坂型認知症」と称しても差し支えないのである。

【参考資料】
 ・レビー小体型認知症 即効治療マニュアル 改訂版 フジメディカル出版