2014/10/18

認知症介護通信14/10/18

神経原線維変化型老年(期)認知症

気になる認知症。それは、神経原線維変化型老年(期)認知症(senile dementia of the neurofibrillary tangle type;SD-NFT)のこと。いつもは、各タイプの認知症で未治療であったり、治療が不適切なため周辺症状が酷いケースばかりを観ているのだが、AGDと並んでSD-NFTも気になる認知症である。

日頃、手のかかる認知症高齢者のお世話ばかりやっていて疲弊する中、「MCI(軽度認知障害)かな・・・?」と思いつつも一部介助のみで、ほとんど手のかからない超高齢者のお世話をさせていただくのは実に楽しくて働き甲斐を感じるものである。
転倒に気を付けて見守ってあげれば一部介助で普通に暮らせるのであるから、会話を楽しんだり、時々見せる滑稽な所作を微笑ましく感じるのである。現在のところ、生前の確定診断ができる段階ではないようだが、90歳以上でほとんど手がかからず普通に暮らしている高齢者を、SD-NFTかAGDと思っていてよいのだろうと理解している。

(以下、青色表記は、アピタル 「進行がとてもゆっくりなケース」 より転記引用)    
 アルツハイマー病(AD)の経過は、「緩やかな発症と持続的な認知障害の進行」により特徴づけられており、進行が確認されない場合にはアルツハイマー病という診断そのものが疑わしいことになります。
 進行が非常にゆっくりである場合には、神経原線維変化型老年(期)認知症(senile dementia of the neurofibrillary tangle type;SD-NFT)なども念頭に置く必要があります。
 ちょっと難解な用語が並びますが、アルツハイマー病の根本的な治療を理解するためにはどうしても必要な知識になりますのでお付き合い下さいね。
 SD-NFTは、神経原線維変化型認知症の一つの亜型です。神経原線維変化型認知症は、神経原線維変化が病変の主座を占める認知症の総称です。 SD-NFTは、辺縁系神経原線維変化認知症(limbic neurofibrillary tangle dementia;LNTD)とも呼ばれています。主に後期高齢者に物忘れで発症し、軽度認知障害を経て認知症に至りますが進行がゆっくりで、認知機能障害も比較的軽く、人格レベルも割合保たれるという特徴があります。CT所見では、海馬領域の限局性萎縮が特徴的です。病理所見では、海馬領域に限局した無数の神経原線維変化が見られ、老人斑がほとんどないことでADと区別されます。
 SD-NFTは、すべてのMCIがADに至るわけではないということに関する理解を深めるうえで重要な疾患概念となります。
 ADでは、アミロイドβというタンパク質が脳内に過剰に蓄積することが引き金となって神経細胞死が起き、認知症を発症すると考えられております。PET検査を実施すれば、そのアミロイドβを検出することが可能ですので、アルツハイマー病の超早期診断(発症前も含めて)および鑑別診断という観点からPET診断の重要性が指摘されています。
 SD-NFT、嗜銀顆粒性認知症(argyrophilic grain dementia;AGD)といった疾患は、ADと症状が似かよっており、ADと誤診されているケースが多いのが現状です。症状は非常によく似ていてもADとは発症機序が異なり、アミロイドβは関与しておりません。
 したがって、現在、臨床試験が実施されておりその登場が待ち望まれているアミロイドβをターゲットにした根本的な治療薬は、SD-NFT、AGDといった疾患では効果が期待できないことになります。ですから、新薬の有効性を正しく評価するためにも、より正確な診断が求められる時代に入ってきているのです
たぶん、90歳を超えて、「親が少し呆けてきたから、治療を受けさせる」とは誰も望まないであろう。私なら治療を望まないが、フェルガード100Mを飲ませて在宅介護を続け、あとは「平穏死」で天寿をまっとうするということで納得するのだが、如何であろうか?

以下のことに留意しながら、その人らしく残された人生を過ごさせてあげたい。(BPSD─症例から学ぶ治療戦略 フジメディカル出版より)


薬物療法を必要としない方々ほど、介護家族あるいは施設介護職の人が主軸となって活躍する機会は多い。特に転倒に気を付けることは言うまでもないが、言葉かけを強力な武器として上に掲げたことを継続すればよい。ついでながら、介護に携わる者の本質的な技量は「こころ配り」や「言葉かけ」であって、食事介助や排泄介助の技能だけにあるのではない。

健常者と認知症の人の中間の段階(グレーゾーン)にあたる症状に、MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)がある。認知機能(記憶、決定、理由づけ、実行など)のうち1つの機能に問題が生じてはいるが、日常生活には支障がない状態のこと。


認知症サミット日本後継イベントの開催 

昨年開催されたG8認知症サミットのあとを受け、厚生労働省などの主催で認知症関連のイベントが開催されるという。(以下、青色表記は厚生労働省ホームページより転記引用)  
世界的な課題である認知症に各国が協力して取り組むため、昨年12月ロンドンで「G8認知症サミット」が開催されました。今年度は、これを受け、4つのテーマについて後継イベントが開催されることとなり、日本においても、その一つの後継イベントを、下記により開催します。
1 趣旨:各国の協力により認知症への取組が推進されようとしているなか、下記のテーマに関して、関係者が集い、知見や経験を共有する。併せて、世界でまれに見る速さで高齢化が進んでいる日本の取組等について、本イベントを通じて世界に発信し、認知症分野での国際貢献を目指すとともに、これを契機をした国内施策の更なる充実・発展を目指す。
2 主催:厚生労働省、独立行政法人 国立長寿医療研究センター、社会福祉法人浴風会 認知症介護研究・研修東京センター (後援:OECD、独立行政法人 国立政策研究大学院大学、特定非営利活動法人 日本医療政策機構、認知症サミット日本後継イベント専門分科会実行委員会)
3 日時:平成26年11月5日(水)~7日(金)
もはや、「認知症を語る会」であっては現実的には何ら意味をなさないのである。予防は当然のことながら必須項目であるが、現に発症している人たちを今日現在の治療技術で救う方策を国家戦略として国内外に示すことが必要なのである。虚しく語る会に終わらないことを期待したい。

無理かなぁ~?! ・・・・・って、実はあまり期待してはいない。抗認知症薬メーカーが協賛していなくて、医者は認知症を「治せる」」(廣済堂出版)を来場者が皆で輪読して、取材に来たマスコミ・報道関係機関が国際公用語でこの本を翻訳して全世界に紹介するなら期待できる。 ・・・・・などと妄想する。

我が国の医療費は2012年で約38兆円、2025年には50兆円を超えると厚生労働省は推計している。高騰する医療費は結局のところ国力を弱体化させるだけである。介護保険とて同様である。認知症医療・介護は一家庭や一施設の切実な課題ではあるが、国全体でみると社会問題であると同時に深刻な経済問題でもある。有効な戦略と戦術を打ち出して、何とかして欲しいと思う。


コウノメソッド勉強会

このブログでリンクさせていただいている「鹿児島認知症ブログ」の著者である平山先生が講師をされた勉強会(8月11日)が、YouTubeに公開されている。
残念ながら勉強会最初のオープニングがなくて途中からの録画であるが、認知症の症状とその治療方法がビデオ映像と共に説明されている。施設、あるいは家庭で認知症の人をみている方々には有益なことが、鹿児島訛りの先生のソフトで優しい声で学べるのでご覧いただきたい。


この勉強会で説明されていることは、介護に携わる方々が是非とも知っておきたいことばかりである。紹介されている症状は特異的なことではなく、ごく普通に見受けられることなのは介護現場に居て認知症をよく観ている方々にはお分かりいただけるであろう。

困った周辺症状さえも「あるがままに受け入れる」、「こういう困った人のお世話をするのが私達介護に携わる人の役割」などと頑なに思い込んでしまってはいけないのである。適切な治療を受けることで、認知症の患者/利用者は穏やかな生活を取り戻せる。そのことで、介護は楽になるということも理解していただきたい。
医者は認知症を「治せる」のではあるが、その可能性を大きく支えるのは、患者家族あるいは施設介護者である。「医師ではない者が薬のことに口出ししてはいけない」、「認知症は治らない」という既成概念はもう捨てよう。

パーソンセンタードケア、タクティール、ユマニチュード、音楽療法、回想法。どれも否定するものではないけれど、その前に(あるいは並行して)適切な薬物療法が効果的・効率的であり、生産的である。
「何を生産するの?」って。時間的ゆとりと精神的ゆとりである。これらのゆとりを手厚い介護にまわしましょう。

ゆとりがないから、介護現場はいつも神経ピリピリでギクシャクとした雰囲気となる。これが、患者/利用者に伝わり介護現場は荒れる。更には、職員/スタッフ同士の人間関係のもつれの遠因ともなり、離職者が後を絶たないとも思われる。そういうで負(ネガティブ)の連鎖を形成してはいないか? 今一度問い直しておきたい。


参考リンク
 ・レビースコア
 ・ピックスコア
 ・コウノメソッドマニュアル