2014/09/13

認知症介護通信14/09/13

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症(DLB)を鑑別するには、レビースコアを利用するとよい。「この人、DLBかなぁ~?」と思ったら、下表にある項目に該当することがないか注目して介護していると、DLBを見抜けるようになる。但し、DLBの人は調子の良いときと悪いときの波があるから、気付きにくいこともある。だからこそ、介護者は生活状況を良く観察しておかなければならないのである。

DLBは余程注意して見ておかなければ鑑別できないような一面がある。まず、一見してDLBだとは気づきにくいことがある。幻視や妄想を生じて不穏になり介護に支障をきたすような状況にでもならない限り、おとなしく普通に暮らしているのだからである。実際、私がDLBであると確信を持って鑑別できた事例の大半は、幻視・妄想、歯車現象の確認ができたケースである。これらがなければ見過ごしていたことだろう。

■薬剤過敏性
高齢者の場合、いくつもの疾患を抱えており、複数の種類の薬を既に服用していることがあるから、薬への過敏性から調子を壊しているのかどうか判別し辛い。だから、風邪など一過性の病気で薬を服用することがあれば特に気を付けて観察しておきたい。
おやつの甘酒やワインゼリーのアルコール分(取るに足りないくらいの極少量であろうが)でさえも気分が悪くなり、寝込んでしまった事例がある。一度ならずも、二度、三度と同じような状態になるのだから、偶然ではないだろうと思う。

■幻視・妄想
幻視を生じていれば、大抵の場合その幻視を事実と誤認するから、いつもと違う行動や言葉でそれに気付くことがある。日中であれば、テーブルの下を覗き込んでいたり、どこかを指さして怯えたり慌てていることで幻視だと気付くことがある。
「どうかなさいましたか?」と、問いかけてみると、幻視で見ている様子を真剣に答えてくれることが多いので確認できる。
妄想は、「子どものご飯の用意をするから帰る」というような、子育て・家族のための家事にまつわることが女性に圧倒的に多いような印象である。また、「夕暮れ症候群」と言われるように夕方から生じることが多いように思う。

■意識消失発作
それまで普通にご飯を食べていたのに急にぐったりするという事例に遭遇した。眠ってしまった訳ではない。当然、バイタルチェックも正常である。とりあえず寝かせて様子をみましょうということで寝かせておけば、何事もなかったようにケロリとしているのである。

■夜間の寝言
施設職員・スタッフで夜勤があるならば、気を付けて見ておきたい現象である。それまで眠っていたかと思うと、急に何かブツブツと言い始めたりするのである。睡眠のリズム(レム睡眠・ノンレム睡眠)との関係もあるだろうが、1.5~2時間おきに寝言を言うこともある。
夜間、眠っていようがいまいが特に問題行動や異常がなければ、介護記録に「夜間良眠」と記録してしまうであろうが、寝言の有無は確認できる限り記録しておきたいことである。また、シフト交代時の申し送りでも伝えておきたいことである。

■嚥下障害
自立で食事ができる人でも、それまで普通に食事していて食塊を飲み込み損ねて急にむせ込むということがある。高齢者はDBLでなくても嚥下機能は低下するから、注意して見守りあるいは食事介助しなければならない。特に、DBLであることが分かっている人は要注意である。幸いにして、嚥下障害から誤嚥性肺炎に到った事例には遭遇したことがない。

■意味のない病的なまじめさ
単なる印象であるが、まじめな人が多い。ここで、「まじめ」をどのように定義するかによって解釈が異なってくるのだが、下記のようにまとめた。

 ・言葉遣いがとても丁寧で、礼節がきちんと保たれている。
 ・挙動や態度がいつもきちんとしている。
 ・冗談を言っても笑ってくれない。

こんな感じであろうか。DBLの人は総じてこういう印象で、ちょっとぼんやりしていても、話しをするととても「まじめ」という印象を抱く。ATDの人のような、「その場取り繕い」の発言はしないものである。

■日中の嗜眠
一般に「傾眠」と言ったりすることがあるが、眠っているのか覚醒しているのか分からない状態もある。だから、視線が合わない。勿論、昼夜の分別なく眠っている人もいる。


■安静時振戦
湯飲みやコップを手にしてカタカタと小刻みに震えたり、何もしていない状態なのに手が震えるということがある。


■歯車現象・ファーストリジッド
肘を支点に腕を持って曲げ伸ばしすると、カクカクと感じることがある。さながら、「歯車のよう」であるが、クルマのシフトレバーを操作した時のような感触と言ってもよいと思う。但し、それほど極端にカクカクする訳ではない。
ファーストリジッドは、腕を曲げ伸ばしする初めの1回だけ反発するような抵抗を感じ、その後スムーズに曲げ伸ばしできるような現象である。「DLBかな?」と思ったら、試しにこれらの現象があるかどうかやってみるとよい。

■体が傾斜することがあるか
左右のどちらかに体が傾いているということがある。車椅子に常時座っているから転倒のリスクはないものの、常に体が傾いている人がいる。また、「最近、転びやすくなったね」と感じる場合でもDLBを疑ってみる必要があると思う。
どう疑うのかと言うと、上に挙げた調査項目に該当することが生じていないかどうか確認してみるのである。介護現場では、「転倒しそうになった」とか「転倒した」という情報はすぐに伝わるのだが、そこから更に一歩思考を巡らせて、DLBではなかろうかと疑ってみることも必要なのである。


純粋なDLBの人は割とおとなしくて手のかからないケースが多いような印象ではあるが、だからと言って決して放置してはおけない認知症であることは言うまでもない。DLBはアルツハイマー型認知症(ATD)と誤診されるケースが後を絶たないのである。誤診されることのないように、介護者はレビースコアを元にしっかりと観ておく必要がある。

アリセプトは、従来ATDのみ適応可能な抗認知症薬であったが、DLBへの適応も可能になったという。(鹿児島認知症ブログ参照) これはある意味怖い話しでもある。DLBにアリセプトで歩行に障害がある人、経口摂取できなくなった人を現実に見てきているからである。もし、「認知症」と診断され薬が処方されながらも、中核症状が改善されない、元気がなくなった、食べられなくなった、歩けなくなったといった異常に気付いたら、DLB+アリセプトと疑ってみることが重要なのである。
なお、DLBへのアリセプト適応は、日本が世界初だという。ありがたくない「世界初」となってはいけないのだが、もしかしたら大変なことになるかも知れないと危惧する。