2014/08/30

妄想は伝搬し、実現される

2020年のコウノメソッド

町医者の妄想 ~2020年の認知症ケア~

ここまで具体的に描き出せなかったけれど、同じような妄想を私も持っている。妄想は空想となり、空想は構想となり、構想はついに実現すると信じたい。

長尾先生の「町医者だから言いたい!」に上記の表題で記事が掲載されたので紹介させていただきた。(以下は、一部転記引用)
認知症対策基本法の基本精神は「認知症になっても住み慣れた地域で最期まで生活する」こととされ、すでに地域包括ケアの目玉になっていた。余談だが、地域包括ケアは略して「ちほう(地包)ケア」と呼ぶようになっていた。
がん対策基本法ともっとも異なる点は、拠点病院を定めないことだった。「認知症ケアは地域での生活にある!」という理念から、まず「拠点診療所」が整備された。認知症専門病院は「拠点機関ではなく支援機関である」という位置づけとなり、CTやMRIなどの画像診断や心理テストなど高い専門性を要求される検査にほぼ特化していた。

認知症拠点診療所には、2つの機能が科せられた。ひとつは、認知症の診断と治療、もうひとつは認知症の在宅医療だった。2020年の在宅医療の対象は、自宅以外に介護施設や老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅も含まれる広義の「在宅」だった。生活支援を重視することから、新たに「生活支援医療」という言葉も生まれていた。

認知症の診断と治療には、コウノメソッドの理念が大幅に採用されていた。2020年には、認知症は病名ではなく各種スコアで表現されるようになっていた。「MMSE」「アルツスコア」「ピックスコア」「レビースコア」が点数化され、チャート図にプロットするという作業が行われ、それ自体が「診断」とみなされた。

加えて家族や介護者の希望するオーダーシートに合わせて、各種の薬剤がコウノメソッド方式で使われていた。オーダーシートとは「幻視を少なくして欲しい」とか「もっと元気を出させて欲しい」という介護者の具体的な希望だった。裏を返せば、家族から特に希望が無ければ、薬物介入は極力避けていた。
4大認知症の理解は、ドクター・コウノによって完全に塗り替えられていた。画像診断と病名が一致しないことは当然と認識され、病名・病態志向ではなく、生活支援志向に変わっていた。

認知症医療の分野では、抗認知症薬のさじ加減などで「個別化医療」がさらに進んでいた。コウノメソッドの認定医たちは「中枢神経系総合医」と呼ばれる専門医となり、認知症は彼らが診るという機運が高まっていた。
余談であるが、町医者についても「中枢神経系総合医」「非中枢神経系総合医」と分けて呼ぼうという提案が、老年医学の世界で真剣に議論されていた。超高齢化社会に特化した専門性が、ドクターコウノらの活動が契機になって再編されようとしていたのだ。

4種類の抗認知症薬は、2020年にも使われていた。脳内の神経伝達物質を増やす薬理作用自体は間違いなく存在するのだが、最大の課題は容量設定だった。1でいいのか、10がいいのか、100がいいのか。ほとんど区別されることなく、強制的に3→5→10と増量するような従来のやり方は、コウノメソッド認定医などで構成される「認知症治療学会」の勧告により、大幅に是正されていた。