2014/08/23

認知症介護通信14/08/23

アナログ感覚

今は昔、デジタルという言葉さえ一般化されていなかった時代、テレビは勿論のことラジオもレコードも皆アナログであった。アナログが普通なのであるから、現在のようにわざわざ「アナログ」と冠する必要もなかった。


ステレオはコンポーネント式で、チューナー・レコードプレイヤ・アンプといったふうに機能毎に個別製品となっている。チューナーはフロントパネルに大きなダイアル(つまみ)が配置されている。プラスティックではなくアルミ削り出しで重量感がある。回転時に適度のトルクと慣性モーメントがあり心地よい感触でチューニングするのである。

ところで、このチューニング操作が何となく、「天秤療法」を連想させてしまうのである。つまり、感度の一番良いところ=薬の効果が最高、そして、雑音がない=副作用が最少というわけである。実際、現在のデジタルチューナーのようにボタンを押して、ポンポンポンと 5、10、15mgとやられたらたまったものではない。やはり、アナログがいい。


レビー小体型認知症(DLB)の人に教わったこと

DLBに幻覚・妄想はありふれた症状である。Tさんは典型的なDLBなのだが、幾らかLPC化してきている。そのTさんの妄想には決まってお坊さんが登場する。「お坊さんが来るから、食事の用意をする」だの、「村人が大勢集まってお祈りしている」だのと妄想を言う。おそらく、生活歴の中でお寺とかお坊さんとの関わり合いが多かったのだろう。 

夜勤明けの朝、Tさんに「おはようございます。眠れましたか?」と声を掛けてみたら、「お坊さんに頬をつねられた」と言うのである。「どうしたのですか?」と私が尋ねると、「分からんけど、部屋にお坊さんが入ってきて、こうやってつねられた。怖かった」と言ってつねられる様子を再現して見せてくれた。その後、また別の夜勤明けの朝にも同じことを言われた。

それで、ある日勤の日に、落ち着いて穏やかな様子のTさんに、「昨夜もお坊さんにつねられましたか?」と尋ねてみた。敢えて、イヤな記憶を想起させて負荷を与えることで、不穏な状態になるかどうかを観るためである。Tさんは落ち着いた様子のまま、「いいや。昨夜はお坊さんは来なかった」と言う。また別の日にも、お坊さんのことを話題にしてみたが、様子は変わらなかったが、「女の人が部屋に入ってきてつねられた」とも言うようになってきた。

どういうふうにつねったのか確認のため、私はTさんに頼んで私の頬をつねってもらった。痛かったのだが、「本当はまだ強くつねったんよ」とTさんが力を手加減してくれたことを聞かされた。他者を思いやり、手加減する気配り・配慮は天晴れである。

外的刺激によるイヤな記憶の想起だけでは、不穏を誘発する因子にならないのであろうという気がする。どちらかと言うと、視覚刺激から幻視に到り不穏になる。DBLの人の不穏パターンを観ていると、そのように思えるのである。

このTさんの場合、驚かされるのは認知機能である。「あんた達は、私を荷物のように手荒く扱う!」と言ってお叱りを受けたことがある。これは事実で、荷物のように手荒く扱って車椅子とベッド間の移乗をする輩を非難しているのである。
私はそのようなことをしないように気を遣ってはいるが、その言葉を真摯に受け止めておきたい。DBLの人は呆けてはいるが、認知機能がしっかりしていて現実をよく見ていると思われるケースに多々遭遇する。アルツハイマー型認知症(ATD)の「その場取り繕い」がないので、ATDの人とは異なり「でまかせ」発言は絶対にしないようにしている。



MRI初体験する

MRIとはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略語で、磁気と電波を利用してあらゆる断面の画像を得ることができる撮影方法。撮影の時は、狭いトンネルの中に入って大きな音の中で検査する
私はこの検査を初めて受けた。首と腰に激しい痛みがあり、介護に支障があるからだ。磁気共鳴というくらいだから大きな音がしても不思議ではないが、あまりにも大きな音がしたのに驚いた。30分くらいの間、検査装置の中に横たわっていたが、認知症の人には大きな負担だと思った。それにしても、介護者が先に身体の不調でダウンしたらもうおしまいだわぁ~。



改めて解ったこと

どんなに勉強して「情報武装」したところで、所詮 素人は素人である。私のことである。岩田先生のブログを読み返していて、改めて理解できた。「第2版 認知症の行動と心理症状 BPSD」を読んで という記事がある。以下、一部転記させて頂く。なお、同書は国際老年精神医学会(IPA)が作成した老年精神医学専門教育のための教材集「BPSD教育パック第2版」の日本語版である。
BPSDが大きな問題であるが、非薬物療法や薬物療法は確立されていないというのがこの本の結論であろう。国際レベルで考えても、コウノメソッドは完成度の高い中核症状および周辺症状に対する薬物療法であると言える。
実はこの本、今は役目を終えて私の本棚に眠っている。自費で購入したのではなく、ある製薬会社から送られてきたのである(勿論、無償である)。2回くらい精読したが今ひとつピンと来なくて納得できずにいたのだが、上記の岩田先生の書評を読んで改めて解った。確かに、海外のサイトで認知症治療についていろいろ調べてみたことがあるが、「BPSDへの非薬物療法や薬物療法は確立されていない」という主旨で結論付けられていることが大半である。

今更どうでもよいことではあるが、「何故、製薬会社がこの本を送ってきたのか?」という疑問である。「送付先リスト」は、某学会の会員名簿であろうことは容易に分かる。さて、「非薬物療法や薬物療法は確立されていないというのがこの本の結論であろう」とすると、製薬会社が経費を投じてまでこの本を会員に送付(贈呈・寄付)するメリットが何処にあるのであろうか? 今も解決されない謎である(笑)


今週の一曲

まだ8月なので学生は夏休みである。夏休みと言えばラジオ体操である。「ラジオ体操の歌」を歌っておられるのが、なんと藤山一郎先生なのである。聴いていて実に清々しい。40数年前、夏休みになると近所の広場に出かけてラジオ体操をした記憶がある。
当時の小学校の友人は皆、就職して出て行ってしまった。残された親は、老老介護であったり施設に入所して暮らしている。現在、同級生の親のお世話をさせて頂いている。時代は変わったというか、私自身が年を取ったというか、こればかりは避けて通れない道なのである。