2014/06/05

国会中継

「映画を観る」はレクレーションのひとつであろうが、「テレビを観る」はレクレーションには当たらないだろう。 けれど、テレビを観せる(あるいは見せる)ようにすることを、介護現場では日常的に行っている。 電気代がかかるくらいで、手間いらずで見守りができるのが嬉しい。

ところで、「高齢者」といえば、時代劇か相撲くらいにしか思っている人が多い。 
ある日のこと、たまたまNHKの国会中継がテレビに映っていたところへ認知症の人たちが集まった。 「すぐに飽きて徘徊を始めるだろう」と、私は思って様子を見守っていた。
ところが、5分経っても10分経っても誰ひとり動き出すことなく、じっと国会中継に見入っているのである。 中には、理解しているのかしていないのか分からないが、頷いている人もいる。

そもそも、日常会話すらおぼつかない認知機能レベルの方々である。 国会議員の答弁を理解できるはずがない。 こういう光景は見たことがないから、翌日も試してみたが、同様の結果である。
別のフロアで別の職員にも、テレビで国会中継を見てもらうよう頼んだ。 概ね、同じように、皆が国会中継を静かに見た。

偶然なのかもしれないが、次のことが推察される。
 ・ドラマに比べて画面展開が単調である
 ・画面に登場するのは数名であり、姿がズームアップされる
 ・答弁に立つ議員は、ゆっくり明瞭に話しをする

こういうシチュエーションは、認知機能の劣った人には理解されやすいとされる。 即ち、
 ・低音の大きな声で、
 ・ゆっくり話す
というようなことは、高齢者と話す際の基本である。 勿論、敬意をもって敬語で話すことは言うまでもない。 
どうも、国会中継がこの基本に合致しているのではないだろうかと思った。 今は担当する職務の都合で、施設利用者にテレビを見せながら見守りする機会が少ない。
機会があれば、継続的に「国会中継効果」を確認してみたい。