2014/06/21

大陸移動説と認知症治療可能説

研究者がそれまでにない、時には常識的に考えられないというような新説を提唱した時、多くの学者・研究者たちは異口同音にその新説を否定する。 既存の定説であるとか単なる先入観が、暗黙の内に新説を受け入れることを邪魔をするからである。 こういうことは、自然科学の歴史をひもとけば幾らでもある。

例えば、今でこそ「プレートテクトニクス」と呼ばれ地震学では定着している常識も、ウェゲナーが「大陸移動説」として提唱した時にはいろんな分野の学者から批判された。 「大陸が移動する訳がない」というのである。


プレートテクトニクス (ウィキペディアより一部転記)1912年に、ドイツのアルフレート・ヴェーゲナーが提唱した大陸移動説は、かつて地球上にはパンゲア大陸と呼ばれる一つの超大陸のみが存在し、これが中生代末より分離・移動し、現在のような大陸の分布になったとするものである。 その証拠として、大西洋をはさんだ北アメリカ大陸・南アメリカ大陸とヨーロッパ・アフリカ大陸の海岸線が相似である上、両岸で発掘された古生物の化石も一致することなどから、元は一つの大陸であったとする仮説であった。
当時の人には、大陸が動くこと自体が考えられないことであり、さらにヴェーゲナーの大陸移動説では、大陸が移動する原動力を地球の自転による遠心力と潮汐力に求め、その結果、赤道方向と西方へ動くものとしており、この説明には無理があり、ヴェーゲナーが生存している間は注目される説ではなかった。
それまでの通説は、古生代までアフリカ大陸と南アメリカ大陸との間には狭い陸地が存在するとした陸橋説であったが、これはアイソスタシー理論によって否定された。また、移動の原動力についての問題を解決したのが、地球内部の熱対流に求めた、1928年のアーサー・ホームズによって発表されたマントル対流説である。 その後、古地磁気学分野での研究が進展し、海洋底の磁気異常の様相が明らかになったことから、1960年代にロバート・ディーツが海洋底拡大説を唱え、それら全てをまとめたツゾー・ウィルソンによって、1968年にプレートテクトニクスとして完成した。


竹内均博士(東京大学名誉教授)は、寺田寅彦博士(東京帝国大理科大学教授)が残した「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉を胸に抱き、関東大震災以降、災害に、特に地震に無頓着であった日本国民に警鐘を鳴らし続けた竹内博士の専門であるプレートテクトニクスに基づく科学的な地震学を広めようとしたが、十分に国民に浸透する前に彼が恐れていたことが現実となる。1995年に兵庫県南部地震、いわゆる阪神・淡路大震災が発生したのである。その結果、彼の目的は期せずして達せられたが、テレビなどマスコミにプレートテクトニクスを知らない「にわか地球物理学者」が登場し、誤った科学知識を広めたので、よりいっそう本の出版など、科学の啓蒙活動に力を入れた。 

地震大国の我が国においては、地震予知というのは死活問題であり、近い将来発生するであろう、東海・東南海・南海地震に備え、被害を最小限に抑えることが重要であることは多くの日本国民の知るところである。 プレートテクトニクスは、テレビで地震の解説などでよく見聞きするからご存知の方も多いと思う。 ここでこれ以上プレートテクトニクスについては言及しないが、
 ・誰も地球内部のマントル対流を直接見た人はいない。
 ・けれど、地球表面と地殻で起こる現象からプレートテクトニクスは科学である。

転じて、コウノメソッド。
 ・誰も生きている人の脳のセロトニン、ドーパミン、アセチルコリンの活動を直接見た人はいない。
 ・けれど、認知症のBPSDを対症療法で治せることは多数の実践医が証明しているから科学である。



私は、いつの頃だか正確には覚えていないが、おそらく3年くらい前から河野和彦博士のコウノメソッドを勉強している、学者でも医者でもないただの認知症オタクである。 自称「オタク」と言うからには、河野先生のブログや著作も読んできたし、医師が読む専門書や学会誌も読んだ。

現在の常識(否、本当は俗説であり、もはや悪説なのだが)に反して、河野博士は「認知症は治せる」と言うのだから学会からは異端者とみなされ、相手にされていないという。 相手にされないもう一つの理由に、「抗認知症薬を減らせば良い」という主張にもある。
しかし、実際には岩田明先生(長久手南クリニック院長、コウノメソッド実践医第1号)ほか多数の実践医らが次々に認知症を治しているのだから、これはもう事実は事実として認めるしかないと常々思ってきた。

常々、そのように思うにつけ、冒頭に掲げたウェゲナーの「大陸移動説」から現在の「プレートテクトニクス」への発展(仮説から定説として受け入れられていること)が、コウノメソッドの現状とダブって見えて仕方ないのである。 
そこへいよいよ、堀智勝先生(新百合ヶ丘総合病院名誉院長)を代表世話人に、コウノメソッドを治療プロトコルとする、「認知症治療研究会」が誕生した。 


実践医の先生方の日々の診療行為は、ある意味「追試」という形でコウノメソッドの正当性を証明してゆくことになろうと期待している。 
多くの臨床医の先生方が集結し、英知を絞り、議論を重ねれば更に多くの認知症の治療方法が発見されるのではないだろうか。 数年先の予防法や治療法に期待することよりも、先ず今日現在困っている人たちを救って頂きたい。

竹内均博士
竹内均博士の功績は、プレートテクトニクスに基づく科学的な地震学を広めようとしたことにあるのだが、それは同時に、地球物理学という難しい学問を分かり易く説くことで、専門家ではない広く一般国民に対して閾(しきい)を低くした。

竹内均博士と同様に、河野和彦博士は「認知症治療学」というまったく新しい体系の学問を提唱し、これを分かり易く説き、日本国民の持つ認知症に関するレベルを向上させてくれるのではないだろうかと期待している。