2014/06/28

認知症介護通信14/06/28

アクセス急増

前回の更新から、河野先生の「ドクターコウノの認知症ブログ」にバナーでリンクを貼って下さったこともあり、累計アクセス数こそ少ないもののアクセス回数が急増した。 画面上の小さな変更であるが、河野先生のブログを隅々までご覧になっておられることが実感された。
また、有難いことに、コウノメソッド実践医の先生方数名も早速リンクを貼って下さった。

アクセス解析からページビューの内訳を見ると、「どうやって認知症を勉強したらいいのか」シリーズが上位を占めた。 (「統計的有意」という程の大差ではない(笑)。) 
これは単なる個人的な経験を元にしたものである。 従って、稚拙で大したことではないのだが、実はコウノメソッド医療者、即ち医師ではない方々を意識して書いた。

河野先生からリンクを貼りたいとのお話しを頂いた時、「コウノメソッド医療者のための 認知症介護通信」というタイトルのバナーを提案申し上げたのだが、「認知症介護通信」と表示されている。 期待してクリックして見た方がおられたら申し訳ない。 専らの読者を介護関係者を想定しているのでご了承頂きたい。
 
併せて、「です」、「ます」調の丁寧な文体・言葉で表記しようかと思ったが、これでは冗長性が増して返って見づらいのでやめた。 因みに、書き始める前から分かっていたのだが、結構手間暇が掛かるものだ。 できるだけ毎週土曜日の更新を目標にしている。


用語について再考する
■歯車現象(cogwheel rigidity)
レビー小体型認知症(DLB)には、歯車現象を伴うことがあるのはよく知られている。 「歯車様筋固縮」とも表され、英語では「cogwheel rigidity」と言う。 cogwheelなのであって、通常イメージするような歯車(ギア、gear)とは形状も動作も少々異なる。

アナログ式の腕時計やアナログ式の柱時計の中を覗いて見たことのある人にはピンと来るであろうが、デジタル世代の人にはピンと来ないかも知れない。 

そこであれこれと考えてみると、クルマのシフトレバーの操作感がピッタリと来ることに気付いた。シフトレバーのロックを解除して「P」から「1」までカクッ、カクッとシフトする。 この感覚が「歯車現象」なのである。
「シフトレバー現象」の方が一般には分かり易いのかもしれない。
実際、DLBの人の両腕でこの歯車現象を確認してみたが、極微妙にシフトレバーを操作した時のような感覚が掴めた。




■鉛管様筋固縮(lead-pipe rigidity)
読んで字の如くである。 鉛の管である。 ところが、平成の時代、何処に鉛の管が転がっているものかと思った。 昔、鉛中毒が注目される以前は水道配管の継ぎ手として使われていた。 道端で穴を掘って水道工事をやっている現場に無造作に鉛管の切れ端が置き去られていたから、持ち帰って遊び道具になったものだ。

そういうことで、代替品がないかとあれこれ考えてみた。 瞬間湯沸かし器や給湯器にあった。 本体から延びた自在に曲がる蛇口のホース部分である。
現在は余程特殊でない限り鉛管が使われることはなく、フレキシブルチューブ/パイプと呼ばれる製品が使われているのだが、現場のおっちゃん達には通称「フレキ」で通じる。
こちらの方が一般には分かり易い。

鉛管様筋固縮は、大脳皮質基底核変性症(CBD)にみられる症状であるが、私はこの症状をまだ1例しか見たことがない。 
もう1例はまだ初期の段階で、鉛管様筋固縮は見い出せない。 歩行などの動作時に著しい四肢の左右差と、幻覚がある。 記憶力や礼節は保持されている。



竹内均博士
前回、地球物理学者の竹内均博士のことを書いたのだが、YouTubeでたまたま在りし日の博士のお話を聴くことができた。 何度聴いても感動である。 この声、しゃべり方がたまらなくいい。
もしご存じない方がおられたら、ご覧頂きたい。 竹内均博士 YouTube

習字で分かったアルツハイマー型認知症(ATD)の進行

ある時、習字のレクレーションを担当した。 ボランティアで書道の先生が施設に来て習字の指導をするのだが、特別なことはなにもない。
お手本を見て四文字書いて、左下に小さく自分の名前を書くのである。 上手に書ける人はそれなりに上手なのだが、下手な人は下手なりにある傾向があることが分かった。

アルツハイマー型認知症(ATD)の人は構成障害の関係からか文字の配置が無茶苦茶なのである。 失礼ながら小学生低学年並である。 ある数名は最近ボケ具合が進行したと感じていたのだが、数年前に書いた彼女らの習字作品が見つかった。  現在とは違って、驚くほど綺麗な配置で文字が書かれていたのである。 
ATDの検査に時計描画テスト(CDT;Clock Drawing Test)というのがあるが、習字もこれに似て検査代わりになるかもしれないと思った。 いちいち「検査」と称して肩肘張らずに気軽に経過観察できる。


夜勤で確信したレビー小体型認知症(DLB)

ある夜勤での出来事である。 夜間帯は概ね2時間に1回各部屋を巡回するように決められている。 「最近転倒が多くなった」と見守り強化が要請されていたMさん(100歳)である。 時々、惚けたこともいうのだが、100歳にしてほぼ自立、新聞を読み、テレビでニュースも観るのだから大したものである。 ほぼ毎日筋トレにも参加している。 ボケ具合と転倒の頻度増大からDLBを疑っていたが確証はなかった。

Mさんの部屋を覗くと、窓のカーテンを指さして怯えているのである。 私は部屋に入ってMさんに理由を尋ねた。 すると、Mさんは「カーテンの上の方から人がこっちを見ている」と言うのである。 幻視である。 私は「やっぱりね!」と思ったので、カーテンの上の方にいる人を追い払った。

幻視であっても、DLBの人が見えていることは事実である。 だから、「カーテンの上に人が居るはずがない」などと否定せず、招かれざる客を追い払えば良いのである。 このやり方で、大抵うまく行くのである。

それからまた別の夜勤の夜、Mさんの部屋を巡回すると、ごそごそとタンスの整理をやっていた。 深夜なので寝るように声をかけてその場を去った。 暫くしてMさんの様子を見に行くとMさんは寝ていた。 約2時間後の次の巡回で、Mさんはまたタンスの整理をやっていた。

DLBにはレム睡眠行動障害を伴うことがあるので、その後の夜勤の度にMさんの夜間帯の行動(睡眠)パターンの観察を続けたのだが、やはり概ね2時間ほどの間隔で覚醒してタンスの整理をする傾向があることが分かった。(尚、いつもこうだという訳ではなく、眠っていることもある。)

夜勤は生活リズムを乱し、身体に負担がかかる。 これも仕事だから仕方ないが、夜間の動態観察で認知症を発見できることもあるので、楽しみと言えば楽しみでもある。 否、勉強の場である。


今週の一曲

このブログのタイトルは「認知症介護通信」である。 介護に携わる方々を対象に書いている。 所詮、介護は「笑わせてナンボ」、「楽しませてナンボ」の世界である。 この傾向は、通所介護(デイサービス)ほど強い。 
結局のところ、じいちゃん・ばあちゃんがその日その日を楽しく過ごしてくれればいいのである。
そういうことで、ブログの〆は「今週の一曲」とし、懐メロを紹介するスタイルに決めたので、日々の音楽レクレーションなどの参考にして欲しい。 (これなら当分の間、ネタに困らない。)

「懐メロ」と言っても世代毎に差異があるのだが、介護保険の適用を受ける65歳以上の世代にお馴染みの歌手と言えば、先ずはこの人でしょう。 藤山一郎。 歌はご存知、「青い山脈」。 私はカラオケに行くと、必ずこの「青い山脈」も歌う。
ご存知のない若い世代の人たちも介護の仕事に携わる時代、もしご存知でなければ調べて欲しい。