2014/06/07

どうやって認知症を勉強したらいいのか[1]

「どうやって認知症を勉強したらいいのか?」 その答えは簡単で、「認知症の人に教えてもらえばよい」 あるいは、「『この認知症の人と介護する家族を何とか助けてあげたい』と強く思うこと」である。
これでは禅問答のようでお話しにならないから、自分の経験を基に話しを進めたい。 但し、ただの経験談であるから、ベストなのかどうかは保証できないのでご了解頂きたい。

先ずは、認知症の全容を広く浅く理解できるような書籍を1冊読んでみること。 そして、用語(専門用語)を理解して覚えること。 前書きから後書きまで、繰り返し読むこと。 前書きには、結構重要なことが書かれている。 ついでに、目次も索引も読むこと。 
介護現場に出たら、施設利用者の中で、本で読んだような人が居ないか探すのである。 もし居たら、その利用者の様子をできるだけよく観察すること。

こういうことを毎日のようにやっていると、本に書かれていることの、たとえそれが1行であったとしてもそれが真の意味で理解できるようになる。 河野先生は、「患者様が先生」と仰るが、介護職者の場合は、「利用者様が先生」なのである。
例えば、ある連続する一連の会話の中で同じ話しを繰り返したり、同じことを質問するような人がいたら、「その人はアルツハイマー型認知症なんだ」と理解すればよい。 あるいは、「テーブルの下に人が倒れている」と心配していたり、怯えている人がいたら、「その人はレビー小体型認知症なんだ」と理解すればよい。 

このレビー小体型認知症のケースは実際に経験したことで、私は何が起こっているのかさっぱり分からなかった。 第一、利用者が倒れていたらスタッフ・職員が気付くし、倒れる前に転倒のリスクを察知してすかさず利用者の傍らに立って転倒を防ぎますでしょ。
こういう経験を積み重ねていくうちに、段々分かってくるし、解ってくる。

そうこうするうちに、読んだ1冊の本では足りなくなるから、更に詳しく書かれている本を買って読めばいい。 インターネットは、分からない言葉の意味を調べる程度に留めておいた方が無難かもしれない。 理由は、情報量が多過ぎて、「今、自分が認知症という症状の中のどこを学んでいるのか」分からなくなってしまうから。 実際、分からなくなってしまった。


一般向けの本ではないが、「老年期認知症ナビゲーター (Medical Navigator Series)」(メディカルレビュー社)という専門書がある。 この本を読んだが、これで「認知症の全容を掴めた」という気になった。 現実はもっと奥が深いのだが、とりあえず全容を掴むのに役に立つ。 
試験勉強をやっている訳ではないから暗記する必要はなく、「どこに何が書いてある。 だから、必要なとき、これこれ!」と、取り出して参照すれば良いのである。 但し、用語が解らないから、その用語を調べてその解説を読んで、更に解らない用語が出てきてまた調べて・・・ ということがよくある。

ある時、重度のアルツハイマー型認知症の人が鏡に向かって愛想良く話しかけている姿を見た(この人は抗認知症薬を服用していない)。 他者に迷惑をかけているわけではないから微笑ましい症状なのだが、早速この本で調べてみると、「鏡現象」であることが分かった。 6年余り介護現場にいるが、鏡現象を見たのはこの人のみである。 この本は重宝している1冊である。
こういう本に、LPC(Lewy-Pick Complex)が掲載される日が来るとといいと思う。 

【ワンポイント解説】
レビー小体型認知症をちゃんと治療している場合、抑肝散(ツムラ、54番)が処方されてる。 こういう場合、レビー小体型認知症によくあるBPSDのひとつである幻覚は生じないから、看護師さんが薬を配って飲ませる時、どんな薬が処方されているか見ておくのもテクニックのひとつ。